人口70人の鹿児島県三島村(竹島)の大名タケノコのブランド化及び販路開拓
村では当たり前の筍、宝の筍に
鹿児島県三島村での地域での仕事作りの事例を紹介します。三島村は、鹿児島県の薩摩半島の南端から約40キロメートルのところにある離島です。硫黄島、竹島、黒島という3つの島からなる村です。
この中でも特に過疎化が進んでいるのが、竹島です。人口は約70人まで減少しています。この地に、Uターンで戻ってきたのがNPO法人みしまですよ代表理事の山崎晋作さんです。子どもの代に島の生活を残すことを掲げ、地域づくりの活動を行っています。
竹島で行われているのは、特産品である大名筍のリブランディングプロジェクトです。特産品として優れている点を磨き上げ、東京都内への販路拡大を中心に、価値の向上に取り組んでいます。
そもそもの始まりは、地域資源である「大名筍」を発見したことから始まります。島では、当たり前に食べられている筍だったため、長い間注目されてこなかった資源でした。
「毎日の食卓にのぼるにも関わらず飽きずに美味しい食べ物」という点に注目し、何が優れているのかを明らかにすることから始まりました。また同時に、ユニークな島の生活の魅力を発信するべく、ウェブサイトを立ち上げて、毎日ブログを更新することで島の生活の情報発信を行う体制を整えました。
リブランディングで、特産品の付加価値が向上
大名筍のリブランディングプロジェクにおいてまず実施されたのは、三島村の方々へのインタビューです。どのような食べ方をされているのか、どのような歴史があるのか、大名筍の魅力についてなどのお話を聞いていきました。それらの声をウェブサイト上でも掲載し、島の生活と共に、積極的な発信を行っていきました。
拾い上げた声をもとに、プロジェクトメンバーが揃ってビジョンを作成し、その思いデザインに落とし込んでいきました。その結果できあがったのが、三島村大名筍のロゴと、それらを活用したチラシ等の販促物やパッケージです。
大名筍の収穫時期である5月から6月という期間に照準を合わせて、クラウドファンディングを活用した先行予約販売を行いました。90人の方の支援をいただき、59万5,000円を集めることができました。またこの期間には、東京都内で大名筍を紹介するイベントを積極的に開催。
食の専門家や、メディア関係者など、様々な人に、本プロジェクトの思いを直接届け、共感の輪を広げる場作りを行っていきました。その結果、テレビ東京の番組に大きく取り上げられたり、全国紙の新聞に継続的に掲載されるなど、着実に認知度を高めることにつながっています。
それらの効果もあり、初年度の取り組みにも関わらず、大名筍は完売状態となりました。産業化の兆しが着実に見えてきています。
この取り組みは、島民のみなさんの協力なしにはここまで来ることができませんでした。地域に根を張り活動する山崎さんと、外部の専門家としての私たちの活動がリンクし、結果をもたらしている好事例でしょう。
今後は島の産業として定着させるべく、大名筍の研究はもちろん、継続的な都市部への販路開拓を通じ、収穫量や販売量の増加を目指しています。